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第7話 俺の字をそんなに見ないでください

last update publish date: 2026-09-20 12:05:14

第7話 俺の字をそんなに見ないでください

 その日の午前中、俺はたぶん三十回くらい、自分の名前について考えていた。

 香坂悠真。

 生まれて十九年使ってきた名前である。

 家族に呼ばれても何とも思わないし、高校時代の友人に「悠真」と呼ばれても、それが普通だった。むしろ大学へ入ってから名字で呼ばれることが増えたせいで、少し距離があるように感じていたくらいだ。

 それなのに夏目陽菜から「悠真」と呼ばれると、いちいち妙に意識してしまう。

 原因は分かっている。

 昨夜、電話で「声が好き」と言われた直後だからだ。

 ただ名前を呼ばれただけなのに、あの会話まで一緒に思い出す。

「……面倒くさ」

「何が?」

「うわっ」

 昼休み、背後から突然声をかけられて振り返ると、陽菜が立っていた。

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